ひとりごと

このブログはフィクションです

交差点で煙草を喫っていたパンクロッカーへ

家の人のご機嫌をとるための買い物へ行った帰り道。

 

赤信号で車を止めた。

交差点に、一筋の白い煙。

むむ。煙草だ。

 

誰が喫っているのか見ると、モヒカンにパンクなTシャツ姿の男。

思わず、「美味そうに煙草喫うなあ」と嬉しくなってしまった。

田舎なので、人通りが少なく、誰も路上喫煙とか気にしていない。爺さま連中はその辺を歩きながら、ふつーに歩き煙草している田舎だから、問題なし。

 

ところが、あんまり車の運転席から、じいっと見たせいで、向こうはこちらに背を向けてしまった。

いやいやいや。

「路上喫煙しているのを非難しているわけじゃないよ、わたしも喫煙家だよ」、と窓から顔を出して言おうと思ったが、言えるわけもなく。(さすがにそこまでいったら変人だから。)

そこでハッと思いついた。鞄からパイプを取り出し、見せつけてやれば、こちらも喫煙者だとわかるはず。

いきなり車からパイプを見せつけられるパンクな恰好したモヒカン男。どんなシチュエーションだ。面白い。

早速実行しようと鞄をさぐってパイプを取り出した瞬間、信号がかわり、モヒカンパンクは歩いていってしまった。

悔しい。

 

パンクな恰好のくせに、モヒカンのくせに、素朴な優しい顔をしたモヒカンパンクだった。